愛らしい春へ(『三輪車の少年』の一節から)
日本は、結局、わたしたちの彷徨の旅の穏やかな間奏曲のようなものとなった。日本の汽船[天草丸]が、これといって変わったところのない夜の航海を経て、わたしたちをウラジオストックから日本の西海岸、敦賀の港まで運んだ。それは、単に一国から隣接する別の国への横断にとどまらず、ある世界から別の世界へ、冷酷な冬から愛らしい春への移行であった――突如、目の前に、桜の花、花柄のキモノを着たかわいい、お人形のような女の子たち。暗闇から出て、日の光のなかへ・・・。(訳:菅野賢治)
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