2018.02.22 00:37主人公 マーセルと自叙伝『三輪車の少年』マーセル・ウェイランド(Marcel Weyland、ポーランド名マルツェル) 1927年、マリア(Maria)の弟として生まれる。建築家、およびポーランド語で書かれた詩の翻訳家。12歳の少年だった1939年の夏、ナチスの迫害から逃れるため家族と共に故郷を離れ、リトアニアのヴィルニュス(Vilnius)、神戸、上海など住む場所を転々としながらも各地の学校で学び続けた。いわゆる「杉原ビザ」のリストに...
2018.02.15 01:29愛らしい春へ(『三輪車の少年』の一節から)日本は、結局、わたしたちの彷徨の旅の穏やかな間奏曲のようなものとなった。日本の汽船[天草丸]が、これといって変わったところのない夜の航海を経て、わたしたちをウラジオストックから日本の西海岸、敦賀の港まで運んだ。それは、単に一国から隣接する別の国への横断にとどまらず、ある世界から別の世界へ、冷酷な冬から愛らしい春への移行であった――突如、目の前に、桜の花、花柄のキモノを着たかわいい、お人形のような女...